サッカー人気にやや押され気味な印象もあるプロ野球ですが、その見所はシーズン中だけでなく、シーズンオフにも「ドラフト」や「契約更改」といった注目すべきイベントがたくさんございます。
スポーツニュースでは「契約金○億円、年俸×億円」といった夢の様な金額を耳にしますが、プロ野球選手も税金を払っているのでしょうか?
今回は意外と知られていないプロ野球選手の税金について解説致します。
1.プロ野球選手はサラリーマンではない
プロ野球選手は各球団に雇われているサラリーマンではなく、一人一人が球団と契約をしている個人事業主です。
税金面でみますと、サラリーマンとしての給与所得ではなく事業所得として確定申告をする必要がある訳です。
2.事業所得の収入
事業所得の計算は「総収入金額」から「必要経費」を控除して計算することとなりますが、具体的な収入金額にはどの様なものがあるでしょうか?
やはり一番は「球団からもらう年俸」ではないでしょうか。この他にもドラフト後によく耳にする「契約金」、オールスターやイベントで受賞する「賞金や賞品」さらには「広告への出演料」なども含まれます。
ちなみに入団時の契約金などについては、一気に課税してしまうとその年の税金が大変なことになってしまうので「平均課税」という所得税の負担が軽減できる規定が設けられております。
3.事業所得の必要経費は意外に少ない?
まず思い浮かぶのは「バット」「グローブ」「スパイク」といった用品の購入費用ではないでしょうか。
しかし有名選手の場合は、メーカーとの契約により無償提供されることが多いそうで、その様な場合には購入費用(=必要経費)はゼロとなります。
さらに遠征の際の交通費やキャンプ時の宿泊代の費用などは球団が出しているはずなのでこれらも選手の側で経費にはなりません。
次に思い浮かぶのは、契約代理人やトレーナーへの支払報酬などですが、こちらは文句なしで必要経費となります。
それからプロ野球選手は高級車で球場まで通っているイメージがありますが、この車の減価償却費も一部経費になります。
こうして考えてみますと、プロ野球選手は収入に比べて経費が少なく、収入のほとんどが事業所得として課税されてしまいます。
4.1億円選手の税金っていくら?
簡単な前提をおいて1億円プレーヤーの選手が負担すべき税金を計算してみましょう。
■ 年俸1 億円
■ 経費1 千万円
■ 所得控除 200 万円 の場合
(1)事業所得
年俸1億円-経費1千万円=9千万円
(2)課税所得(税金の対象)
事業所得9千万円-所得控除200万円=8,800万円
(3)負担すべき税金
所得税3,480万円 + 住民税880万円=4,360万円
納税額も一流ですね…。
5.目先の税金より将来設計を
プロ野球選手というのは、その活躍次第で年俸が増減するという非常にシビアな世界に身をおいており、引退後の道も保障されている訳ではありません。
(指導者や解説者となる選手の割合はどの程度なのでしょうか…。)
プロ野球選手に限らず、自営業者や専門職の方々は様々なリスクを抱えており、常に先を見据えながら、また不安を抱えながら、仕事をしているのが現状ではないでしょうか。
弊所では、税金の計算のみならず、資産活用(運用、財産の組み換え等)に関するご相談も行っております。どんな些細なことでも結構ですので、気軽にご相談下さい。